隔週刊 釣り雑誌「つり丸」掲載コーナー
つりぐるめ
第1回 醜い魚は旨い? 毒魚オニカサゴ
グルメドキュメンタリー・フォトストーリー
オニカサゴの料理写真

オニカサゴの皮霜造りで乾杯!

釣ったオニカサゴを、刺身や鍋、酒の肴にして味わう。料理を囲む人々の会話とともに、釣魚の魅力を紹介する第1回。

今回の登場人物

マスター釣り好きの料理人。経歴不詳。オヤジまたはマスターと呼ばれる。
甘木大の釣り好きで食いしん坊。赤いバンダナがトレードマーク。かなりの酒好きでアル中気味。
里美釣りはしないが料理好きで、特に魚が大好き。遠距離恋愛中。
雑賀(さいか)家でも料理をふるまう愛妻家。甘木と出会い釣りを始めたばかりの初心者だが情報は詳しい。
雑賀ママ雑賀の奥さん。生魚が食べられなかったが、雑賀の釣った魚を食べて魚好きになる。
会話の色分け: ● マスター ● 甘木 ● 里美 ● 雑賀 ● 雑賀ママ

オニカサゴ大漁!

マスター:いらっしゃい。オニカサゴ大漁でしたよ!
甘木:いいねぇ。どこの?
マスター:大原の「力漁丸」です。5匹で竿頭でしたよ。
甘木:そりゃ凄いね。大原沖には「大鬼」がいるからねぇ。しかも「力漁丸」は、オニカサゴ釣らせるの上手いからなぁ。
マスター:何にしますか?
甘木:そうだなぁ。薄造りもいいけど、皮霜造りにしてよ。それと生ビールね。
里美:私も、甘木さんと同じものと、レモンサワーください。
マスター:はいよ。
オニカサゴの皮霜造り
オニカサゴの皮霜造り(三点盛り)
マスター:ヤリイカと〆サバを入れて三点盛りにしましたよ。
甘木:さすが、マスター。仕事が速いね。あぁ、旨そうだ。
雑賀(さいか):綺麗な皮霜造りですね。ボクなんか、皮がグズグズになっちゃって。
マスター:ひょっとして熱湯かけてない?
雑賀(さいか):はい、沸騰したお湯を直接。
マスター:それじゃ、皮が丸まってグズグズになっちゃうよ。お湯は80℃ぐらいで、さらしを上にかけて、ゆっくりかけるんだよ。それと皮目を下にして切るときれいに切れるよ。
雑賀(さいか):さすが、マスター。勉強になります。
オニカサゴ
今回の主役、オニカサゴ

皮霜造りの POINT

  1. 皮目を上にして、熱湯ではなく約80℃のお湯をさらしの上からまんべんなくかける。
  2. 素早く氷水につけて粗熱をとり、水気を良くとっておく。

〆サバの POINT

  1. 塩を身の全体にたっぷりと、まんべんなくふり30分おく。
  2. 酢で洗って塩を落としてから、たっぷりの酢に30分沈める。

昆布〆風と胃袋ポン酢

雑賀(さいか):こんにちは。
マスター:いらっしゃい!
甘木:雑賀くん、今日はいいオニカサゴがあるってよ。
雑賀(さいか):オニカサゴいいですねぇ。昆布〆が食べたいです。マスター!
甘木:昆布〆は、2〜3日かかるだろう、今日は無理だよ。
雑賀(さいか):残念だなぁ。ネットで昆布〆が旨いって書いてあったんで。
マスター:食べてみる?昆布〆風だけどね。少し時間かかるけど。
雑賀(さいか):いいんですか?あー、念願がかなった。
甘木:マスター、オレのを先にやってよ。雑賀くん、自分で釣らなきゃダメだよ。
雑賀(さいか):そうですよね。今度、連れて行ってください。
マスター:もうできていますよ。はい、オニカサゴの皮霜造り。
マスター:はい、お待ち。オニカサゴの昆布〆風。
雑賀ママ:美味しそう。初めて食べるわ。
雑賀(さいか):ボクも昆布〆は初めてです。あぁ旨い。
マスター:ゴマ油と塩で食べても美味しいんだよ。
雑賀(さいか):へえ、それは知らなかった。
甘木:なんだ情報通の雑賀くんらしくないな(笑)。
甘木:そう言えば昔、オニカサゴ釣りで3mはあるサメが船の周りをグルグル回っていて怖かったなぁ。
雑賀ママ:なんで?人が落ちるのを待っているとか。
甘木:オニカサゴが釣れるのを待っているんだよ。釣れあがってきたのを丸飲みしちゃうの。
雑賀(さいか):それにしてもあのサメはオニの毒が効かないのかな?
甘木:体が大きいから、あまり毒が効かないで、きっとピリピリするぐらいなんじゃないの?それが気持ち良くて食べてるんだよ。ある種の中毒だな。
里美:甘木さんのお酒みたいなもんですね。
甘木:俺もアル中だからなぁ。
料理人
料理人が腕をふるう
店内の様子
料理を囲む店内の様子

オニカサゴの昆布〆風

昆布茶をふりかけ、10分ほど置き、白板昆布で包み冷蔵庫で30分寝かせる。

食事を楽しむ人々
みんなで釣魚料理を楽しむ

オニカサゴの胃袋ポン酢

マスター:はい。突き出しです。
甘木:胃袋だな。うまいんだよね。これが。軽く七味かけるよ。
里美:私、胃袋って初めて食べます。
甘木:食べてごらんよ。コリコリして旨いよ。湯引き加減もバッチリだね。
里美:ほんと、おいしい!
マスター:ありがとうございます。
オニカサゴ料理
オニカサゴの料理
マスター:お待ちどう。オニカサゴの赤出汁。
里美:わー。兜ですね。美味しそう。
マスター:いい出汁が出ていると思うよ。
里美:ホッとする味で美味しい。
マスター:さあ、こっちもできた。
甘木:お待ちかねだよ。何を作ってくれたんだい。
マスター:割り下に時間がかかるんですよね。今日は、しゃぶしゃぶで出汁をとってあったんで楽でしたよ。
甘木:おー、魚すきだな。久しぶりだなぁ。大好物だよ。これは、嬉しいね。オニのアラでとった出汁で割り下をつくったんだな。こりゃ、旨そうだ。
雑賀(さいか):いいですねぇ。ずるい、甘木さん!
雑賀ママ:ほんと、マスター!なんで甘木さんだけ。
甘木:しゃぶしゃぶがあるだろう。
雑賀ママ:もう食べちゃった。それにこっちも美味しそうなんだもの。
里美:甘木さん、魚すき下さい。
甘木:赤出汁があるだろ(笑)。
マスター:こんなことだろうと思った。まだありますよ。こちらでどうぞ。
雑賀ママ:わー、マスター、ありがとう。
雑賀(さいか):まるで盆と正月が一度に来たみたいですよ!
里美:わたしもそっちに行っていいですか?
甘木:なんだ、結局オレはひとりかよ。
マスター:はい、甘木さん、オニのヒレ酒、もう一杯作っておきましたよ。
甘木:ありがとう、マスター。魚すきはやっぱりうまいねぇ。
オニカサゴのしゃぶしゃぶ
オニカサゴのしゃぶしゃぶ
オニカサゴの皮霜造り
オニカサゴの皮霜造り
オニカサゴのヒレ酒
オニカサゴのヒレ酒

オニカサゴのしゃぶしゃぶ・ヒレ酒

マスター:あぁ、ツマミがないですね。何か作りますか?雑賀ママ。
雑賀ママ:少しお腹空いてるかな。マスターお任せで。
マスター:はいよ。
マスター:お待ちどうさま。オニカサゴのしゃぶしゃぶです。さっと、鍋にくぐらせてお召し上がりください。
雑賀ママ:わー。豪華ねぇ。美味しそう。
雑賀(さいか):なかなか食べられないですよね。
甘木:雑賀くん、釣らなきゃ食べられないよ(笑)。
甘木:マスター、オレにもくれよ。
マスター:ちょい、お待ちを。先に里美ちゃんに。甘木さんは、まだ昆布〆が残っているので。
里美:えー、マスター、まだ何も頼んでないですよ。
マスター:この間、赤出汁が飲みたいって言ってたじゃない。オニカサゴの赤出汁は旨いんだよ。
里美:覚えていてくれたんだ。マスター!
甘木:なんだ、オレの話しなんかすぐ忘れちゃうくせに。
雑賀ママ:覚えてないのは甘木さんだけですよ(笑)。
しゃぶしゃぶ
オニカサゴのしゃぶしゃぶ
甘木:さて、オニカサゴを食べながらオニのヒレ酒でも飲むかな。マスター、ヒレ酒頼むよ。
マスター:はいよ。
里美:ヒレ酒のヒレってどこに干すんですか?
マスター:むかし、自宅の窓に貼って怒られたなぁ。
雑賀ママ:誰にですかぁ?自宅ってことは一緒に住んでた人ですよね?
雑賀(さいか):なんだ、マスター奥さんいたんじゃないですか。
マスター:余計な事、言っちゃった。まあ、昔のことはどうでもいいよ。ヒレ酒、ヒレ酒と(笑)。
甘木:速く頼むよ。
雑賀ママ:今は、どこで干してるの?
マスター:一升瓶に貼り付けてますよ。いい感じに丸みを帯びて華麗に焼けるんです。「怪我の功名」ですね。
マスター:お待ちどうさま。オニのヒレ酒です、はい、マッチ。
甘木:これこれ。これが楽しみなんだ。
里美:マッチなんてどうするんですか?
甘木:火を着けるんだよ。まあ、見てなって。あと30秒ぐらいかな。ちょっと暗くしてよ。良くみてなよ。ほらっ。
一同:うあー、綺麗。
甘木:アルコールを軽く飛ばしたら出来上がり。フタの上にヒレを出しておくのを忘れずに。
雑賀(さいか):どうしてヒレ出しちゃうんですか?
甘木:コクが出すぎちゃうんだよ。2杯目が旨くなくなる。この厚さなら3杯は飲める。だから一度出しておくんだよ。
里美:さすがお酒の美味しい飲み方は詳しいですね。甘木さん!
オニカサゴのヒレ酒
オニカサゴのヒレ酒

甘木さんへのお楽しみ

マスター:それじゃ、甘木さんにはこちらを。
甘木:おっ、しゃぶしゃぶだな?
マスター:違いますよ。関西人の甘木さんにはこちらの方がいいでしょう。
甘木:何を作ってくれるんだい?
マスター:お楽しみですよ。
オニカサゴ料理
オニカサゴ料理を囲むひととき
誌面クレジット
料理人:兼子 佳大 / 撮影:池川 一夫 / デザイン:今井 里美 / プロデュース:盛川 徹
協力:焼き鳥 さいか
千葉県市川市欠真間 2-19-16 電話:047-727-8120
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